「学校の英語はそこそこやってきたけど、ネイティブとは絡むのは苦手」「TOEICの点数は上がってきたけど、自分の英語力に不安なのは治ってない」そんなあなたに贈るシリーズの第一弾。今回は【a/the】や【-s】の重要性について説明します。
1. 日本人は【a/the】や【-s】が苦手?
英語の【a/the】や、それに引きづられる【-s】は、英語を使う上で、実はとても大切なものです。でも実は、多くの日本人がこのことを理解していないのではないか、と私は思っています。
日本で売られているいろいろな英語本を読んだりしますが、「a=ひとつの、the=その。これらは冠詞というもので、可算名詞の場合には...」みたいな文法に関するぐだぐだした解説はあっても、『なんでそれが大切なのか』までは説明されていないことが、経験的にも多い気がします。
おそらく、根本的な
理由のひとつは簡単で『日本語にはそんな概念ないから』です。自分の言語では必要ないものなので、「別になくても困らないでしょ」と心のどこかで思っているのではないでしょうか。いわゆる学校などで教わる難しくてつまらない英文法の1項目だ、という感覚が抜けないので、記憶にもあまり残っていなかったりする。
根本的に軽視しているので、【a/the】についてどこよりもわかりやすく書いていると自称するような本や講義でも、『なぜ大切なのか』までは伝えられないのではないか。
そこでこの記事では、この『なぜ大切なのか』の本質にせまりたいと思います。
2. 日本語の名詞のあいまいさ
まず、日本語との違いを見ていきましょう。たとえば日本人が「イルカが....」と言ったとき、どんな意味があるでしょうか?
おおよそ以下の4つのパターンだと思います。
1)漠然と「1匹のイルカ」
2)漠然と「たくさんのイルカ(2匹以上)」
3)動物としての「イルカというくくりのもの(種族、概念)」
4)動物ではなく「イルカ」という名前のもの
おわかりだと思いますが、日本人は普段これらを区別せずに話しているのです。「イルカが…」と言われた段階では、どうにでも解釈できるアイマイな状態で話しているわけです。
仮に上の4つのどれかを頭に浮かべていたとしても、聞いた側は、どれのことかわからないので、状況を判断して推測するか、話す側が他の言葉でわかるように説明を補うのです。
話す側が優しくない人の場合は、相手に自分から察することを強要して、あえて詳細を言わない(その方が、よりわかり合えてる感がするから?)ということもありますよね。それが日本語です。(ただし英語でもこういったことは当然ありますよ)
3. 英語の名詞と意外な親切心
一方で英語を話す人々は、日本語では区別しなくてもいいこれらの違いを、普段からハッキリと区別して、言葉にしてくれているのです。
この観点からすれば、実は英語は相手に「親切」だとも言えますよね。聞く側がハッキリとイメージしやすいように、始めから言葉でこの4つを区別して伝えてくれているのですから。
※その区別に対する詳しい解説は別の機会にします(図では、便宜のため色々と端折っています、悪しからず)。
4. 英語の親切を無視する日本人
ここで、中途半端な英語力の日本人と英語ネイティブが会話すると、問題が起きます。英語を話そうとした日本人が、この「親切」が自分の文化にないので、無視しても別に「不親切じゃない」と思っていたりする場合です。
たとえば、あなたが暗記で「イルカ=dolphin」と単語だけ学習し、【a/the】や【-s】については難しい文法用語で煙に巻いただけの質の低い英語教育を受けたとしましょう。
【a/the】や【-s】なんて難しいから、あってもなくても「どうでもいい」と思ってしまうとします。
「どうでもいい」と思うと、楽して一番簡単な形で済まそうとしますから、日本語の「イルカが...」を一番単純な形、つまり【a/the】も【-s】もないシンプルな状態にして
ドルフィン イズ...
と言おうとしていないでしょうか?
しかし、さきほどの図で見るとわかる通り、実は「aもtheも後ろにsもつけていない」パターンは、文法的にはハッキリと4つ目の
Dolphinという名前、もしくは"dolphin"と呼ぶ何か
になってしまいます。他の1匹のイルカや2匹のイルカである可能性を排除してしまうのです。
これを聞いて背筋が寒くなったら、そのショックこそが【a/the】が大切な理由です。
自分は1匹のイルカを思い浮かべていたのに、相手は全く違うものをイメージして話を聞いてしまうので、相手から「あいつ何言ってるかわからない」と思われてしまうわけですね。
つまり、単語だけ覚えて、単語だけそのまま言えばシンプルに通じるんじゃないかと思っていたら、それは間違いだということなのです。
実は【a/the】や【-s】をつけていなければ、話題にしているモノの『イメージの共有さえできない』。
これが、【a/the】や【-s】が大切な理由です。
英語に自信がないのに、名詞のイメージさえ伝わっていなかったら、どうやってコミュニケーションするのでしょう?
大切さが、わかっていただけたら、この記事の目的は達成です。おめでとうございます。
【余談】対処法
ではどうするか。方法は、いくつかあります。
もちろん、【a/the】や【-s】に気をつけて英語を学ぶ、使うという正攻法もあります。そうしたい方のための詳しい解説は、別の記事に譲ります(これから書きます)。
しかし、ここであえてあげておきたいのは、手っ取り早い反則技です。
そもそも自分が日本人で英語が不得意で、それくらいの間違いをしてしまうということを「相手が理解してくれて」いれば、別に大丈夫だという話です。
しかしそのためには、「自分は英語ができない」ということを相手に何らかの形で伝えなければなりません。
すると「ソーリー マイ イングリッシュ イズ ベリー プア」というような前置きを言い出すひとがよくいます。
これは日本の文化では「つまらないものですが」と贈り物をするのと同じで、自分を低く見せることで相手を持ち上げる丁寧な行為、と思ってしまいがちです。
ところが、そうではない文化のひとからすれば単に「自信がない、信用できない人間」ともとられかねない歓迎されない行為なのです。
そこでひとつ簡単な方法が、日本語ナマリの英語を話すことです。相手が英語ができるひとであればあるほど、ナマリには敏感なはずです。なんだかわからない日本語ナマリの英語には、それだけで、多少変な英語でも「こいつ英語わからないんだろうな、でも必死にしゃべっているな」と思わせる効果があるでしょう。
逆に発音だけ磨いてネイティブのような発音になってしまうと、相手に「こいつ英語ができる」と思われ、もしあなたの話している英語がおかしいときには、本人の英語ではなく「人間性がおかしい」のだと思われかねません。
つまり発音を良くしたい場合は、なおさら、【a/the】の大切さについて知らなければならないということでもあります。
発音の上達を優先事項にしなければならない何か特別な理由がない限り、発音をアメリカ(もしくはイギリス)っぽくする訓練は、二の次にした方がいいと思います。
実は英語に自信がないひとほど、自信を持って日本語ナマリで話した方がいい。
なんや少し脱線しましたが、【a/the】と【-s】の大切さが身にしみていただければ、幸いです。









